国際情報専攻 柏倉淳宏

中国にとって望ましき米国

「開放経済に直面する中国」

米国の景気後退の影響を、もっとも早く影響を受けるのは中国だ。中国は、安い大衆消費財を大量に米国に輸出することで、経済を伸ばしてきた。いわば発展途上国である。何億の人がいようとも、金のない人間に購買力があるわけがない。米国企業は、中国進出の最初から、徹底した下請け生産の場にした。製品のブランドと販路は、がっちり本社が握って、安い労働力だけを活用する。

しかしこれは長い目で見れば、中国のためになる。何故なら発展途上国は、その中でしか工業力を身につける方法がないからだ。現中国政府の朱鎔基首相は、中国を市場原理の働く国に変えようとしている。そして世界貿易機構にも加盟した。開放経済に向けて、中国は、米国に学び活用して行く姿勢が今求められていることを知るべきである。


米国にとって望ましき中国

「中国に育った新しい芽」

米国は、中国に対して最恵国待遇の恒常化を実行した。その代償として中国は、国内法の改正を約束した。これは中国が、世界貿易機構WTO加盟の必須の条件でもある。中国経済は、着実に世界経済に組み込まれつつある。

しかし中国の三つの革命が、いよいよ期限切れとなるがいっこうに進んでいない。国有企業の改革、不良債権の処理、経済活動の合理化、進まぬ理由ははっきりしている。中国政府は、相変わらず軍事予算を増強し、核開発、ミサイル開発も続けているからだ。

経済の現実と政治の軍事体制との矛盾は一筋縄では行かない。独裁政権ほど軍事力への依存が強い。国内政治を民主化したら、わが身が危ない。中国に育った新しい芽の改革路線をしっかり見守っていくべきである。