――入学から修論まで――
平成12年度修了生・人間科学
青木愛弓
−めでたく入学はしたけれど−
「実は論文の書き方なんてよくわからない」、「なにから手をつけて良いのやら、どうやって研究進めればいいのだろう」、「研究テーマを見直さないととても2年じゃ終わらない」、「ああ、これから修論、どうすればいいの」――研究計画書を何とか書いて首尾よく入学したものの、このような悩みで困っている人は、多分私だけではないはず(ですよね…)。
こんな人にとって、「身近なアドバイザーがいない」というのはつらいことです。なんと言っても、これが通信教育の欠点。我らが大学院では、インターネットを使っているおかげで、郵便だけの通信制よりも格段にコミュニケーションがとりやすいとは思います。確かにそうですが、でも、「ねえ、ちょっとこれ教えて」と隣にいる人に聞くというのとメールで疑問を言語化して文章にして送信するというのでは、いくらメールは「気軽」に送れるとはいえ大きな違いがありますよねえ…。
となれば、「自分で調べて解る範囲は何とかするしかない」。これが通信の宿命(というより何においても当たり前のことですけれど)。というわけで困ったときにお役に立てばと、やっとの思いで修論を書き上げた1期生から送る「私が使った参考書」です。題して「困った時のこの1冊」。本当に初歩的な入門書ばかりですので大多数の方には物足りないと思います。でも、ほんの少しでもお役に立てれば幸いです。
−ご紹介するのは、この場面に最適な5冊です−
■入学はしたけれど、さて・・・
■論文の書き方のお作法が解らない・・・
■どの統計を使ったらよいのか解らない・・・
■ああっ、パソコンが!!
■ココロの問題について・・・
■入学はしたけれど、さて・・・■
どうやって研究を進めていこう・・・。大いなるテーマを持って大学院生にはなったけれど、実は自分の研究する分野については初心者という方へ。
章ごとの見出しは、「研究とは何か」、「データの収集」、「研究の設計と管理」、「人間科学における研究倫理について」、「文献調査の方法」、「メッセージ分析」、「観察法」、「調査的面接法」、「フィールド分析によるインタビュー」、「質問紙調査法」、「実験法」、「研究論文の書き方」、「実験論文の書き方」となっています。
「本書は、筆者たちと院生・学生達との絶え間ないやりとりの中から生まれてきた書である」と書かれているとおり、初学者のためのよい案内書となっていると思います。各章末には参考図書ガイドがあり、本のタイトルと著者の紹介だけでなくコメントも添えられていて選ぶ際の参考になります。これから、大学院への受験を考えている方にもおすすめです。
■論文の書き方のお作法が解らない・・・■
結構うるさいルールがあります。事細かに。卒論書いてから、かなりの時間がたっていますのですっかり忘れていました。内容が素晴らしい論文であっても体裁が整っていないとレベルが低いように見られてしまうことも考えられますし、体裁が整っていない論文を提出するということは審査していただく先生にも失礼に当たることかもしれません。論文としての体裁が整っているかということも審査の際にはチェックされます。知らなかったではすまされません。
この本は、論文作成のお作法について、「ここの部分はこう書きなさい」と具体的に、痒いところに手が届くように書かれています。例えば、表題・図題の付け方、引用文献のリストの付け方など、わからない方は必見です。
また、心理学系でしたら、日本心理学会出版物の『心理学研究執筆・投稿の手引き』を参考になさるのもよいと思います。
日本心理学会出版物についてはhttp://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jpa/JPA_Publications(J).html
をご覧下さい。
■どの統計を使ったらよいのか解らない・・・■
統計なんて忘れてしまった。とにかく簡単に解る統計の本をという方に。どんなときにどんな処理方法を使えばよいかが、手に取るように解りますので、統計の専門書への入口として読むことをおすすめします。
心理系の方は、こちらが必要な方が多いのかもしれません。同じ著者ですので、わかりやすいかと思います。もっとも、私は多変量を使っていませんので読んでいません・・・。でも、ご参考までに。
■ああっ、パソコンが!!■
困ったときには、これが役に立ちます。ヘルプに電話する前に調べてみてくださいね。自分で何とかするということの積み重ねでパソコンがだんだんわかってくると思います。パソコンは多分それほど怖くありません。困ったなとか不便だなと思ったら、この本を参考にしてあちこち押して自分でいじってみてはいかがでしょう。我々には「親切丁寧」が売りのヘルプデスクという強い味方がついているのですから、いじり倒して本当にどうしょうもなくなったら「助けてー」と一筆書いてパソコンを箱に詰めて所沢に送ってしまえばよいのですから*。*注:ただし、OKかどうか未確認です。
ごめんなさい 写真はありません |
■ココロの問題について・・・!■
国際情報・文化情報の方々にもお勧めしたいのがこの本。心理学に興味がある方には最適な入門書です。文章が平易で読み物としてとてもおもしろいです。巷に出回っている怪しげな心理学の本とはひと味違います。夫婦・同僚・生徒など、人間関係が煮詰まっている方、悩みの解決の糸口が見つかるかもしれません。また、心理学系の科目を選択した方で、心理学を今までに勉強していない方も必見です。イラストが多用されているので、体系的に理解するのが楽にできます。読むだけで基礎がばっちり理解できて、レポート作成に役に立ちますよ〜。
最後までおつきあいいただきましてありがとうございました。
読んでくださった方が、何か反応してくださると私は大変強化されることでしょう。
(「強化」については、『心理学のことがおもしろいほどわかる本』p.120参照)
ご意見・ご感想お待ちしております。
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