「香港株式市場の見通し」



平成12年度修了生・国際情報 岡野直行

 

 

ハンセン指数は13,000ポイント台でもみ合っている。世界的な景気鈍化は懸念材料だが、一方で金融緩和が続いているために株価の下値不安は限定的だ。

 

<ハンセン指数のチャート>

http://finance.yahoo.com/q?s=^HSI&d=1y

 

最初にファンダメンタルズから整理する。まず金利の影響。通貨を米ドルに固定している香港にとって金利は外部要因である。米国景気の減速で、FFレートは年初から5回も引下げられ、7年ぶりの低水準になっている。米ドルとの固定為替制を採用している香港では米国金利低下の恩恵をフルに受ける。このため域内の資金は不動産や株式など資産市場の期待収益率に対して、より敏感になってきた。

 

次に中国景気の状況。2000年は8年ぶりに経済成長率が前年を上回った。景気サイクルは加速に転じている。向こう12ケ月では、主力の輸出は減速が避けられそうもないが、積極財政と直接投資誘致で内需主導の成長エンジンに転換する方針だ。

 

最後に指数の特殊要因を紹介する。代表的なハンセン指数は、わずか33銘柄で構成されていながら、市場全体の時価総額の約7割をカバーしている。年初から指数の値動きの5割を支配する時価総額ウエイト上位2社(HSBCホールディングスと中国移動)の株価が冴えなかったために、指数はもみ合いが続いた。この間、レッドチップス指数や中国企業指数など中国関連銘柄からなる指数は年初来高値を更新している。代表的指数の推移だけで判断すると投資機会を逃す恐れもある。

 

個別ではチャイナ・リソース・エンタープライズに注目している。中国・香港地域で手掛ける事業分野は多岐に亘っている。CBの発行による利益の希薄化懸念は株価に織り込み済みだが、調達する2億米ドルのビジネス展開はまだ評価されていない。

 

<チャイナ・リソース・エンタープライズ(0291.HK)の株価>

http://sg.finance.yahoo.com/q?s=0291.HK&d=t