「戦後日本の国際政治論」


関嘉彦著/加藤秀治郎編・解説一芸社2000年発行1,700円)

 関嘉彦は、英国・ドイツの民主社会主義思想を中心とする政治・社会思想を一筋に研究してきた。その成果たる著作(1950年〜1994年)のうち、今日的視点で重要と思われる国際政治に関する論文を加藤秀治郎(東洋大学教授)が選択し、編んだのが本書である。編者による論文の時代背景や周辺の事情等についての解説が加えられており、理解しやすい。

著者は、1912(大正元)年福岡市に生まれ。東京帝国大学経済学部に入学(1933年)直後に接したのが『社会政策原理』(河合榮治郎著)であった。同書は、改革思想といえばマルクス主義以外にないと信じていた著者に新しい一筋の道を示した。その後、河合榮治郎ゼミに参加し、河合、木村健康らの指導を受けた。

北ボルネオからの復員船の中で決意した日本の再建方策実現のため、民主社会主義思想の研究と普及活動に従事していたが、1949年4月新設された東京都立大学の教員となり、20年間勤務した。1970年民主社会主義研究会(略称:民社研、初代議長:蝋山政道、2代目議長:武藤光朗)の3代目議長を引き受け、後に「民社党」の理論的支柱ともなり、1983年7月民社党から参議院比例区で当選した。

 関は、いわゆる戦後の進歩的知識人が犯した過ちの例として、以下を指摘する。「共産主義」と「社会主義」との混同、「社会主義」=「平和愛好勢力」としたこと、東西陣営の対立を「自由世界または民主主義国と共産主義国との対立」のはずを「資本主義対社会主義の対立」と読み替えたこと、等々。それらに加え、「ソ連も民主主義国である」などの過ちを逐一解説する。さらに当時のマスコミや社会科教科書の表現方法が不適切であったとする。それらの結果として、1960年の安保条約改定時の大混乱、ヴェトナム戦争や中国文化大革命の報道に際し、日本のマスコミが、いかに偏向していたかを明示し、批判する。

また、古くて新しい憲法第九条改正問題では、国会決議による明確な憲法解釈の変更か、文言改正かをはっきりさせる時にきていると、明言する。東西陣営の冷戦が終結した現在、湾岸戦争の例のようにかえって局地紛争の危険性が増大している。国連の機能回復が必要であり、そのため自衛隊の国連を通じた平和維持・回復活動への参加を要請する気運が高まってきている。外部からの侵略に対して武力を行使して自衛するのみでなく、日本が直接侵略を受けなくても、国際正義と法に基づき、平和の攪乱者に対しては国連に協力するのが、本来的な平和主義である、とする。従って、上述の結論となる。

 ただ、北方四島返還問題や靖国神社公式参拝問題、国歌・日の丸問題、歴史教科書検定問題等については触れられていない。続編が期待される。

国際情報専攻 松村泰夫

著者紹介:

国際情報専攻 松村 泰夫(まつむら やすお) 昭和14年1月2日生まれ、 62才です。そろそろ、定年退職も近づき、何かをしようと考えた末に、通信制 大学院を見つけました。
今も、日本コンピューター・システム鰍ノ所属しています。http://www.ncs.co.jp
もともと私は、プログラマーとして入社しましたので、NEAC-2203,2200/200など の汎用機でマシンコード/アセンブラー/COBOL言語などで、事務処理システム のソフトを開発しておりましたが、実業務から離れて、教育、総務・人事、株主総会、 業界団体のお世話などをしております内に、Windowsの世界が急展開して、パソ コンからも取り残されそうになってしまったわけです。
今は、見よう見真似でWord,Excel,PowerPointなどを、さわっています。 幸いにも、私のデスクにはPCがありますので、自由にメールが出せます。 ところが、困ったことにWindows95,Word95,PowerPoint95とVer.が少し旧いのです。 「文字化け」が起きる度に、新型ノートPCが置いてある机に走っています。 やはり、使い慣れたマシンの方が便利ですので、大学院からお借りしたPCは、殆ど寝ています。こんなことでは、いけないのですが。
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