「大学院入学後1年間を振返って」

国際情報専攻 新谷眞瑜




 昨年2月に入学試験を受け、3月に合格発表後、4月にオリエンテーションを受けて

から約1年があっと言う間に過ぎてしまいました。

 その間、私なりにどの様に自分の考え方が変り、又、修論に向けてどの様に取り組ん

で行こうとしているのかを、2001年に入学して来る新入学生にごく一部でもお役に

立てれば幸いかと思い、ここに投稿する次第です。

1、物の考え方を一方向から見るのではなく、多方面から見る様になった事。

 私は、修論の題目の関係から、朝日、日経、日経産業、化学工業日報等に日々、目を

通し、必要な記事は必ず切り抜きをし、特に連載記事には特に注目をし、収集をして論

題の材料に入れようと努めています。

 又、関連月刊誌、白書ものにも目を通し、データ−を収集する事にしています。

 そうする事によって、修論に次に何に材料を書いて行こうかと考える必要がなく、日々

新聞等に目を通す事によって、当然作り上げる修論の材料の内容が日々養われて来て、

別に苦労する必要も無くなって来ます。特に連載記事に注目する事によって、修論の書

き方、物事の流れを知る事が更に深まります。入学前からも上記の事を行って来ました

が、入学後、修論完成と言う目的で更に、深く捕える事が出来ました。物事を一面だけ

で捕えるのではなく、あらゆる方向から見る事によって、世の中の動きがどう変化して

いるのかを、関連付けて捕える様になりました。

2、仕事の関係上、上記に述べた知識を身に付ける事によって、交渉相手の立場に立ち

交渉する事が出来る様になった事。

 当然、交渉相手の関連記事にも目を通した上で、交渉に持込みますので、只単に、価

格交渉一点に集中するのではなく、交渉相手に置かれている状況、立場を十分理解した

上で、交渉を始めますので、ごり押しで話を決める事もなく、説得力があり、随分紳士

的に交渉に締結する事が出来る様になりました。そうする事によって、お互いに物事に

蟠りもなく、すんなりとした気持ちで話し合いに応じる様になりました。

 交渉事と言うのは、一遍通りで終るのではなく、継続しますので、自分の会社さえ利

益を得、とことん迄相手を追い詰める所迄追い詰める事はなく、ある程度の所で、余裕

を持った気持ちで話を決めて行きますので、何の蟠りも残しません。お互いの立場をよく

理解する事が交渉事にとって、重要かと思います。

 交渉相手には、私が大学院で勉強している事を話題にしていますので、私が交渉相手

の状況をよく理解してくれた上で、話題にしてくれているのだと相手が接してくれ、交

渉に歩み寄りが生まれます。話の入って生き方もすんなりと入って行き、何も最初から

くどくどと長く話しを持って行く必要がありません。話題が1分位で、後は雑談に話が

弾みます。その雑談の中に、私にとって、随分修論に役に立つ事があり、どんどんと取

り入れています。その積み重ねが修論の結末の一部だと考えています。理屈だけでは通

用しない事を絶えず肝に銘じ、世の中の動きがどう変化するのかを的確に捕え、相手と

の接点を先に推測した上で、話題を投掛けるかが必要かと思います。絶えず交渉事には

自信を持ってすれば、しかも相手の目をよく見て真剣に取り組めば、お互いに心から心

情を交換しあう事が出来ます。

3、人の輪が広がった事。

 交渉相手が、私がどんな気質の人間であるかをよく知ってくれていますので、仕事上

の同士が同士を呼んで、人間関係が益々広く、深くなって行きます。″新谷さんは無理

を言わない。相手の立場をよく理解してくれている″と言う事を、相手がよく理解して

くれている事が、私にだけ残された取柄です。大学院では、修論を完成する事が最大の

目標です。併し、一歩仕事に戻ると、人間関係を如何に円滑にするかばかりを考えてい

ます。只単に修論を完成させた事に尽きるのではなく、それ以外に何かを掴み、更に考

え方を飛躍させ、実践に役立たせる事が使命です。又、人の輪をどんどんと広げて行く

事も第2番目の使命です。″新谷さんは、顔が広い″と言う事を、相手に知らしめ、仕

事上にうまく利用し、相手に協力を求めていく事が、残された停年までの5年間だと思

います。自分自身で一生懸命勉強して身につけた事は、一生離れず、絶えず身に付いて

成長していくものだと考えています。

4、世の中の流れを汲み取る事が出来た事。

 世の中は、新聞紙上で記載されている様に絶えず変化しています。大会社であるから

安閑としている、即ち″寄らば大樹の陰″、″井の中の蛙、大海を知らず″では世の中

は通用しません。世の中は目まぐるしく変化して行きます。世の中の流れに乗って切盛

りして行く事こそ、会社が生き残る唯一の道だと思います。一会社員としては、たえず

先端情報を知って、自分なりに、何をすべきかを考え、実行する事が肝要かと考えます。

 人の情は段々と通用しなくなりました。自分の会社が生き残る為には、昔からの柵が

通用しなくなり、マーケットシァを守る為には、平気で競合相手と企業統合、M&A

行い、更に人員整理(リストラ)を容赦なく実行しています。

5、物事の相関関係を結びつける手段が段々と身に付いてきた事。

 修論の内容にも因りますが、論題が決定すると、色んな方向から論述していかなけれ

ならないと思います。私は、現在の所、修論の材料を約70枚程準備しています。その

準備に至ったのも、日頃、新聞に目を通す事により知識を養っておくと、必ずと言って

良い程、1,2ヵ月後には、現在話題となっている問題点を取り上げ、詳しく解説された

月刊誌が出版されます。これを我先にと買い求め、新聞紙上の記事の内容と月刊誌との

相関関係を持たせ、要領よく纏め、論題の材料として取り入れます。論題に合った月刊

誌を逸早く捜し当てるのも、論題を作成する一つの骨だと思います。そのタイミングを

逃がさない様に何時も気を配ることも重要な一つだと思います。タイミングを逃しては

論題の内容に繋がりません。後、残された約1年間、更に磨きをかけるべく日夜励んで

います。

6、スクーリングを十分に活用する事。

 スクーリングがある毎に、出来るだけ多く論題を仕上げて行き、担当教授からご指導

を頂きます。そのご指導を頂き、次のスクーリング迄必ず準備する事により、又ご指導

を頂きます。″このまま続行して下さい″と教授からご指示を頂くと、何か教授と意思

疎通が出来た様な気がして、何か清清しい気持ちになります。又、次の発表の時迄、教

授が注目なさる様な論題を捜し当てて来て発表し様と勇気が湧いてきます。私にとって、

この大学院に入って、人間の皮が、一皮剥け、一段と人間が大きくなったのだなあと感

じて来ます。

 

 最後に、私は、今年4月で単身赴任8年目に入ります。何としても、後1年間で必ず

修論を仕上げ、停年時には、″修士″と言う立派な肩書きを持って、会社人生を終える

のが一つの夢です。

 以上、思い付くままに書き留めましたが、少しでも、私の真意をご理解頂ければ幸い

かと思います。