香港株式市場の見通し
国際情報専攻 岡野直行
相場は不安定な展開を続けている。米国株式市場が軟化しているからだ。
<ハンセン指数のチャート>
http://finance.yahoo.com/q?s=^HSI&d=1y
世界の株式市場が心配しているのは、Economy(米国景気)、Earnings(企業収益)、Electronics(半導体)の3Eだ。
懸念は米国景気の方向性に起因している。好景気も8年続けば曲がり角になるのは当然である。しかし、米国の減速を香港株式に当てはめると、市場にとってプラス要因にもなり得る。
すなわち米国経済のスローダウンは通貨の固定制を通じて香港の金利低下作用を促すからだ。
足下の香港経済は、中国の景気拡大の恩恵を受けてデフレ環境を脱しつつある。こうしたなかで実質金利があと2%程度低下(米国金利▼1%、香港物価△1%)してくれば短期金融市場に滞留している資金は資産(株や不動産)市場へと向かうことになろう。
ここのところ株式市場の反応も下値では強い抵抗を示すようになっていて、NASDAQ離れが始まりつつある。
さて具体的な投資戦略としては、米国景気に左右され難い香港地盤の優良企業で、金利敏感セクターに投資していきたい。
個別ではサンフンカイ・プロパティーズに注目している。当社は香港最大級の不動産会社でマンション開発の他、賃貸物件も多く有する。総資本に対する負債比率は28%で財務内容の強固さでは定評がある。
株価は61.5香港ドル。PERは15倍。ここからの下値は自社株買いのインセンティブも働く。
<サンフンカイ・プロパティーズ社のホームページ>
http://www.shkp.com.hk/home_e.html
香港セントラル地区のオフィスビル。地震がないからノッポのビルが多い。返還前の写真なので左下にはイギリス軍艦も見える。
注)
実質金利:インフレ率を考慮しない「名目金利」から物価上昇率を差し引く。グローバル証券投資には「実質金利」が大事。現在香港の物価上昇率は0%近傍なので名目・実質ともに金利は6台半ば。今後米国要因(名目金利の1%低下)と香港要因(物価上昇率1%)をあわせて「実質金利」が2%程度低下してくれば、資産市場はhotになる。
サンフンカイ・プロパティーズ社:
香港の大手不動産会社は世界最強と思う。なにしろ負債比率が極めて低い(20〜30%程度)、どこかの国の不動産屋とは大違い。
高金利で販売不振なら物件を在庫して市況の好転を待てば良い。サンフンカイ社の場合、財務はnet cashなので金利収入が増えるメリットもある。
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