400字特集
アメリカ・アメリカ認識
国際情報 渡辺康洋
セールスで売りこもうとする時や、上司に都合の悪い報告をしなければならない時は、相手の食後をねらうと良いそうだ。食欲が満たされると人間は心も寛容になり、否定的に考えることが少なくなり、心も寛容になるらしい。だから、同じ報告でも、食前と食後にするのでは、上司の反応にもかなりの差が出てくるはずだ。
外部からの情報に対する人間の反応は、その人間の内部状況によって良くも悪くもなりえる。報告に対してひどい叱責を受けた部下は、案外その前日上司が細君とトラブルを起こしていなければ、逆に誉められたのかもしれない。つまり相手の自分に対する反応に、一喜一憂する程のことはないのだ。
アメリカの日本に対する好感度が過去最高水準に達しているという。言うまでもなく、米国の好況のためだ。経済絶好調のアメリカは、食後の満足感を得ているような状態だ。そのアメリカが今、日本に対して好意を感じている。ところが、一方で日米構造協議で睨み合っていた時代は、日本への信頼度は極端に低かったようである。
しかし、アメリカの反応が好意的だろうが、敵対的であろうが、あまり気にすることはない。日本が同じ態度をとったとしても、相手の反応は相手の状況によって異なっていたかもしれないのだ。
大切なことは、自国が自国の言動をどう評価するかだ。アメリカ経済が減速してくると、例えば、今は収まっている「思いやり予算」についてまたクレームがついてくる可能性がある。だから今のうちから検討しておくべきだという議論がある。これはまさに、アメリカは腹が減ってきたら怒り出すぞ。今のうちに手を打っておこう、というものだ。では、アメリカが怒り出さないとすれば、検討はしないのか。日本は対米外交においても、相手の顔色ばかりをうかがうのではなく、もっと事態の本質を見つめ日本にとって正しいと思われる主張をしてよいのである。
国際情報 村上恒夫
拝啓 アメリカ様
私は貴国が好きで好きでたまらない、東洋のちっぽけな島国です。
初めてお会いしたのは、今から150年くらい前でしたね。
一目あったその日から、私は恋の虜になりました。
それ以来、寝ても覚めても貴国のことばかり考えております。
今から約60年前、意思の疎通が上手くいかず大喧嘩をやり、
メチャクチャに負かされました。
しかし、それも今では良い思い出です。
この喧嘩以来、さらに貴国を好きになりました。
私はその大喧嘩以来、ご近所の国々から大変嫌われています。
そんな私を貴国だけが親切に面倒見てくれました。
大変嬉しかったです。
貴国は何をやらせてもNo1であります。
私も、そんな貴国を真似して、経済でNo1を目指しました。
その時、さすがに貴国から白い目で見られましたが、結局また負けたのですから笑って許してください。
世界の誰からも愛される貴国に、私はいつも嫉妬しています。
貴国が思わせぶりな態度で誰彼かまわず接するからです。
願はくば、私だけは貴国にとって特別な存在でありますように。
敬具
国際情報 金長貴之
アメリカについて話をする時、多くの人々は好きと嫌いに分かれるが、だれもが思うのは多くを語れるという事である。いろんなイメージがあるアメリカ(アメリカ合衆国の事)
日本人のだれもが思うのは世界においてアメリカという国は大国であるというイメージだ。アメリカは世界で一番強い国である。世界の警察官である。ハリウッド映画のアメリカ軍は必ずエイリアンを倒す。(自衛隊はゴジラに踏みつぶされる)
そのアメリカは多くの問題を抱えている。多くの失業者、教育の荒廃、多くの犯罪、移民問題、人種差別問題等
アメリカがアメリカであるためには、そんな問題は問題にしてはならない。常に敵に対して正義を行う自由の国アメリカのイメージがあればいいのだ。そのための強い軍隊、アメリカ軍がある。敵はだれでもいい。神の国日本、ファシストナチスドイツ、ソ連、イラクフセイン、北朝鮮、次はどの国だろう。
実は、アメリカにとって軍隊は、日本の公共事業のようなものかもしれない。イメージと失業者を吸い込み産業を作る軍
常にアメリカには敵がいるのだ。
国際情報 望木昌彦
私にとって初めての外国はアメリカだった。昭和36年「サントス丸」で横浜港から2週間かかってサンフランシスコ港に着いた。1ドル360円、日本にとってドルが外国に流出することは国家の損失だと言われた時代だ。
当時アメリカは世界でもっとも産業が盛んで雇用も安定し、所得も高い国で、家庭では、郊外に立派な家を構え、冷蔵庫やテレビ、ピカピカの自家用車があって、健康的で本当にお手本にしたい国だった。今、貧富の差が拡大し、子供の貧困率も犯罪率も群を抜いて高い。そして、「世界の警察」「超大国」として、日本に対しても、経済制裁などの外交交渉や規制緩和要求など、時には恫喝的に横暴とも思える要求を押しつけ、日本は黙って従うこともしばしばだった。人の世にも、「世の中には強い立場に立つ人とそうでない立場の人がいる」
優秀な技術や技能を持ち、知性もあり、強い立場にある人は、優しくありたいものです。日米ともそうありたいものです。
国際情報 情野瑞穂
アメリカ人に対し、粗雑で力が頼りの人々というイメージを持っていた。しかしその国を知るほど、洞察力に優れたしたたかな国家という認識を持つようになった。
民族のカオス、そして数々の問題を内在する国。しかし、各国民はアメリカ人であることを誇り、母国をナンバー1だと認識している。この強さはどこからくるのだろうか。
個人と共同体とが強烈な個性を発するこの国では、それらの集合体としての国家がより強力で独自性を持つ必要があったのだろう。敵国の常設や華々しい外交は、自を世界に売り込んで印象付ける。また国民の共有認識の場が外へつくられることによって、国内の諸問題を希薄にする。
内に対しては個々を吸い上げる開かれた政府として、外に対しては比類なき大国として存在、保持する。「わが国はナンバー1である」と内外に発しながら。アメリカは素晴らしきエンターテイナーだ。
国際情報 コ永義人
日本が遅れた国という表現にアメリカ人のオリエンタリズムの固定観念がある。よくTVレポーターが日本の印象をアメリカ人聞くと「fujiyama・susi・tenpura・geisha」などと言う。また米国映画で日本の料亭で中国の大きな銅鑼が飾られているのを観た事がある。日本の風習を充分理解していない。それなのに米国メディアから批判される節がある。
そして日本人も欧米系の人を見るとどの人も「アメリカ人に見える」というのも日本人もアメリカを充分理解していないのである。互いが理解し合おうと努力しているのにそうなるには互いに時間がかかりそうである。それとも練りあっているなのか、日本とアメリカは互いに親密になりたいと願っているけど世論では良くけんかする関係で本当に良い親子みたいで、昔アニメーションであった『トムとジェリー』みたいな奇妙な認識関係である。
国際情報 笹田佳宏
政治、経済、軍事ともにNO1の国、アメリカ。パイオニア精神、アメリカンドリームといった言葉に表現されるように、この国は20世紀を強力なパワーで引っ張ってきた。
建国されてからまだ200数十年のアメリカを作ったのは、その土地で長きに渡って営みを続けてきた人々ではなく、勝手に入植してきた欧州人達である。
20世紀は、技術の進歩によりそれ以前の時代とは、ケタはずれに時代の進行が早くなった。“新しい土地”では、人類が築いてきた文明、文化、伝統とは一線をかくし、また古いものにとらわれることなく、前進する環境があったと思われる。パイオニア精神がその象徴であろう。
だからこそ、アメリカは世界のトップランナーになれたのだ。しかし成功と同時に国内では多くの問題も抱えており、失敗でも不名誉なトップランナーでもある。我々は、常にアメリカを目標としてきがその裏にあるものを見逃してはいないだろうか。
国際情報 岡野直行
仕事上わが国経済の変化を予想する際、米国の状況を分析することに多くの時間を割いている。2番目の経済大国が「世界1の国」と全く異なる方向に進むとは考え難いからだ。
例えばIT革命に沸く米国のインターネッはWindows95から始まった。日本の元年は同98からである。3年のリードタイムを考慮すればインターネットの普及を前提に今後の企業戦略を評価できる。
わずか数年のうちに国内電子商取引は爆発的に拡大し、流通や消費の形態は大きく変化するだろう。従来のマージンは消費者の手許に残り、新たな消費へと向かう。この時消費者は「選択の自由」を手に入れ、米国と同様のルールに基づく競争社会が到来する。
米国と日本は「違う」という意見に対しては、インターネットへの接続が米国でパソコン経由なのに対して、わが国では携帯電話利用が主になると予想されることだ。この点でわが国独特なビジネス・モデルが生まれる可能性が高い。
|
|