国際情報専攻 田中 松夫

日本・日本人のここが変わった

「日本・日本人のここが変わった」

日本は不思議な国だ。過去と未来、西洋と東洋、神と無信仰、伝統と舶来、全てが、混在する。米国や中南米諸国では、現地文化と入植者文化は融合して新たな形態をとった。

しかし、日本人は、外来の諸事象を咀嚼し、原型を残したまま、自己流に解釈して取り入れていった。繊細でありながら強靭さを持った竹の如き精神が、その本質といえる。明治の激動期を乗り越え世界列強に並び、第二次大戦の敗戦から復活し経済大国となった。逆境において真価を発揮する強さは自他ともに認める美点であった。ところが、経済敗戦といわれるバブル後の空白の十年は日本人を変質させた。自信を喪失し、方向を見失い、目先の利益にのみ汲々として大局を忘れている。最も悲しむべきは、誇りを亡くした事だ。

某政治家などは某国の太鼓持ちの如く振る舞い、国民もまたそのような人間を選出する。かつて日本と日本人に見られた活力の復元は未だ見られない。それもまた不思議の一つか。