国際情報専攻 武田 里子
日本語の現状と将来
「自立した個の胎動」
1975年、日本は先進国首脳会議のメンバー国入りを果たした。高度経済成長と共に日本は自信を回復し、時にはそれがアジア諸国への傲慢な態度の誘因となり、一方では、米国に過剰な追随をみせるというアンビバレントな状況が続いてきた。
85年のプラザ合意を契機とした円高、バブル経済とその崩壊、冷戦構造の終焉は、社会、経済基盤に決定的な変化をもたらした。しかし、日本社会は高度経済成長を支えた終身雇用や年功序列といった日本型雇用システムからの転換が遅れた。「失われた10年」を経てようやく個人のレベルでもこの限界を受け止め、新たな社会システムへの適応過程に入ったようだ。
現代は、幕末、戦後に次ぐ大変革期と形容される。変革は痛みを伴うが、チャンスでもある。所属する組織を通じた評価ではなく、個としての力量が問われる時代だ。通信制大学院の成立は、自立した個の胎動を示すものでもあろう。
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