国際情報専攻 西牟田邦彦

日本・日本人のここが変わった

「国家理念の喪失と再構築の重要性」

第二次オイル・ショック後の日本社会は、急速化する世界経済システムの潮流に組み込まれ、国内需要の活性化により、先進国、債権国として国際経済社会の一端を担っている。

プラザ合意による円高と、冷戦体制崩壊による市場経済の自由化、規制緩和によって輸出額は上昇し、国際収支は大幅に改善された。またアジア諸国の輸出志向工業化策における工場誘致や労働移動により、日本の国際競争力は益々強化されていった。

だが、対外経済政策推進の一方で、国内消費は低迷し、産業空洞化の波が市場を襲い、バブル経済崩壊によって国内経済は目標喪失に陥ったかのように低迷する。裾野は広げたものの、国力に投資しなかった政府の役割の課題でもあるが、成長著しい中国・韓国等のアジア近隣諸国にとっても、構想なき国家に対する魅力は減退しているのではないか。

今の日本に必要なことは、独自による国家理念の形成と政府の役割の明確化であろう。