国際情報専攻 

日本語の現状と将来

「『舞姫』と技術文章(文語とカタカナ)」

高校生のころ、森鴎外の「舞姫」を読んで非常に感動したのを覚えている。文語調で書かれたその本は、戦後の新しい教育を受けた私にとって、新しい「日本語」だった。鴎外は、文語調で「舞姫」を書くことにより、古い日本の因習を浮き彫りにした。文語調で書くことが強力なメッセージなのだ。

文調あるいは、使用する言葉で相手に強烈なメッセージを送ることができる。わが身を振り返ると、私は、カタカナをよく使用する。技術者なので、当然と言えば当然だが、必要以上に多いと思っている。外国の事物を表すだけでなく、自分自身の感情までカタカナ語を使用する。これは、どうやら私だけの傾向でないらしく、眼を通す報告書もカタカナ語が多用されていて、非常に読みづらい。そうだろう、私がカタカナ語を多用する理由は、相手と自分自身を煙に巻くためなのだから。鴎外に比して、なんと低級なメッセージか。