国際情報専攻 日下田 伸

日本・日本人のここが変わった

「停滞の25年」

この25年を振り返ると、戦後日本は高度経済成長の余韻をオイルショックによって断ち切られたことで、日本・日本人論の分野においてはいよいよ冷静にその議論を深めるべき時期を迎えたはずであった。その序盤にこそその胎動はあったものの、青木保の言うところの「普遍性」へと高めるはずであった中盤以降の15年ほどは、バブル経済沸騰と崩壊、外的にも冷戦終結と社会主義体制の自壊によって、むしろその議論は停滞していた。

このような停滞状況は論壇以上に国民生活において深刻で、とくにこの25年は団塊Jr.世代が育ってきた期間そのものであるが、親世代が子供達に示すべきビジョンを持ち得なかったのである。政治意識をみても、日本人自体の自己検証の不足が政治的関心の低下を増長している。私は政治への期待低下は、上の世代、即ち大人や親への不信に表れに他ならないと考えている。

25年の変化は、変化というより停滞がもたらした硬直化であったと思う。ただし、若い世代は、もはや親ではなく、インターネットなどの新たなメディアを通じて、広範で高速化する社会にキャッチアップすることで新たな指針を得つつある。